ある日突然、自死遺族になって。

2016年10月に息子を自死で亡くしました。過労自死でした。

ヒアリングのために・・・

労災の関係のヒアリングを期末までにしたいと労働基準監督署から急にお呼びが来て、急遽東京にやってきた。


やっぱり東京は疲れる。


しかも最近はもっぱら引きこもりなので


人混みは余計に疲れる。


息子が東京にいるときは、会うのが楽しみ

だったが、その息子はもう

この世のどこにもいない。


早く用件だけ済ませて

さっさと帰りたい。


東京も、もう桜が満開で

どこも花吹雪が舞っていたが、


私が華やかな気分になることはもうない。



生きてさえいれば

もっともっと楽しいこともあったのに・・・


どうして、そんなに早まったのか。


本当に悔しい!


そして、会いたい!


笑顔が見たいよ。

31年で終わりなんて・・・

息子の人生は

わずか31年で終わってしまった。



どうして、こんなに生き急ぎ

自ら終わらせてしまったのだろう?




子供のころから真面目で優しくて

何をするにも全力投球で

自分のことよりも

人の気持ちを思いやる誠実な子だった。



仕事の悩みやストレスが

かなりたまっていたにもかかわらず

人の悪口や愚痴は言わなかった。



それが溜まり過ぎてか

とうとう精神疾患に罹患してしまった。



同様の職場を転々としてきたと言う

年上の同僚の方も

システムエンジニアが休業や退職に

追い込まれて会社から使い捨てに

されて潰されたのを

たくさん見てきたので


そうなる前に、息子にも

「この会社は早く辞めたほうがいい!」と、

何度も忠告してくださったそうですが、



息子の返事は、

「今ここから逃げ出す訳にはいかない」と、

言うものだったそうです。



受診していた心療内科の先生の診断も

「うつ病・適応障害」でした。


とても毎日出勤して、しかも深夜の

不規則な交代制勤務のできる状態では

なかったそうです。



でも、息子は休まず、遅刻もせず

とうとう最後の日が来てしまいました。



退勤直前に、上司から呼ばれ、

やっと仕上げた仕事を

使い物にならないと罵倒され



普段の仕事ぶりや人格の全否定まで

同僚の前で叱責され、



そのまま、誰とも口をきかず

暗い表情で職場を出ていったそうです。




翌朝、息子が出勤してこないので、

「さすがに、昨日のことで、相当堪えて

この会社に愛想がつきたのかな?」と、

みなさん思ったそうです。



でも、普通はまず会社に出てこれなくなる

と言うプロセスを踏むのに



まさか、いきなり命を絶つ・・・なんて。



僕たちの考えが甘かった。

そんな決断をするところまで

追い詰められていることに

気がつかなかった・・・



いつも、傍にいながら

助けることが出来なかったと

みなさん泣いてくださいました。



途中で仕事から逃げ出すことは、

息子なりのブライドが許さなかったのでしょう。



ずっと離れて暮らしていたとは言え、

気づいてやれなかった自分を

責めてしまう毎日です。



最期にひとりで決断させてしまい

ひとり寂しく逝かせてしまったことが

本当に不憫でならず、

母親として、いちばんの後悔です。



本当にダメなお母さんでごめん。



さびしい・・·・会いたいよ!

過労死防止の啓発授業


亡くなった息子は、大学、大学院と
6年間、真面目に勉強していた。


大学に行かせてもらえるだけで
ありがたいと感謝していてくれた。


そして、研究したことを
実地に活かせる職業を・・・と、



選びに選んで、自分で決めた
東京でシステムエンジニアになった。



東京での新生活に、仕事にと
希望で胸を膨らませていたが・・・



現実はかなり厳しいものだった。



本人の口から
仕事の悩みや愚痴は聞いたことがなかった



だから楽しくやって
くれていると信じていた。




それなのに、
あまりに唐突な息子の自死という連絡!
自分さえ壊れてしまった‼



真面目を絵にかいたような
明るくて、優しい息子だった。



だが、周囲や上司からの嫌がらせや
パワハラ、長時間労働、
過重労働にサービス残業etc.



最後のほうは、鬱も酷くなり
まともな文字も書けなかったらしい。



亡くなった後で
いかに虐げられていたか
同僚の方たちが告発してくれた。



悲しみは深いままで
このまま一生癒えることはなさそうだ。





息子の学部の後輩たちは、
ほとんどがシステムエンジニアに
なるのだと聞いている。




過労死、過労自殺の原因の
とりわけ多くを占める職種だ。



裁量労働制が拡大されると
社会で問題とされていたときに



システムエンジニアも含まれる
可能性が高いと聞いて


息子の後輩たちや
その御家族や親御さんたちに



私たち遺族と同じような
悲しい目に遭ってほしくないと思った。




本当に心から思った!




でも、まだ労災認定も受けてない私には
新参者で、なんの力も知識もない。



でも、家族会の方が
厚労省の主催で、過労死予防のための
啓発授業の出前があると教えてもらった。



「これだ!」と思った。



それから、無謀にも1度だけ面識のある
過労死問題研究の第一人者である
大学の先生に連絡して



息子の出身大学で講演していただく
ことの了解をいただいた。



本来なら、大学とか高校とかから
厚労省などに希望の申し込みがあって
成立するものらしいが、



無知な私が、それを飛び越えて
厚労省から事業を委託されている
業者さんへ先に連絡してしまったが、



平成30年度でよければ、
厚労省と大学のコーディネートを
してくださる了解をとりつけた。



たぶん講義の1コマを
使うと思うので、講義が70分くらい、
僭越ながら、私の体験談が20分くらい。



残念ながら、職場の悩みを
御家族に早い時期に相談される人は
ごくわずかとのこと。



そうなると、仕事から身を守るのは
自分しかいないと思ってください。



これだけブラック企業が溢れるなか、
仕事から生きるために逃げ出すのは
決して恥ずかしいことではありません。



会社の大小なんて関係ありません。




命さえあれば、何とかなります。
1度失った命は
どうやっても、なかったことには
できないのです。
そして家族を悲しみの
どん底に突き落としてしまいます。



企業の採用情報は信用できませんが、
話を聞ける先輩でもいない限り
入社してみないとわかりませんよね?



だからこそ「辞める勇気」が必要です。



入社の契約の際には「就業規則」や
いわゆる「36協定」に必ず目を通して
ください。残業の上限などが書いて
あります。このワークルールを知る
ことが、自分の身を守る方法です。



そして、この会社の働かせ方が少しでも
おかしいと感じたら、家族や公的な
窓口に早めに相談してください。



私の息子は、真面目で責任感が強いのが
仇となり、会社の言いなりに、身体や
精神が崩壊するまで働いてしまいました。



過労死は特別な人だけのものではなく、
会社に指示された仕事をやり遂げようと
頑張る人が、気付かないうちに
巻き込まれてしまう理不尽な死なのです。




長くなってしまいましたが、
自分の息子の命さえ守れなかった



哀れな母親の戯れ言と
聞いていただければさいわいです。